NST(栄養サポートチーム)とは、患者さんに対して最適な栄養療法を提供するために、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、言語聴覚士など多職種で構成された医療チームのことです。

平成18年5月に入院患者の栄養管理を行うために設置されました。現在、日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)と日本栄養療法推進協議会(JCNT)からNST稼働施設認定を受け活動しています。

当院のNSTは中枢神経嚥下グループ、摂食嚥下リハグループ、低栄養静脈経腸栄養グループの3グループに分かれて専門的なサポートを行っております。

栄養サポートチームの概要

NST委員長のご挨拶

NST委員長 日本臨床栄養代謝学会 指導医 水谷雅臣

当院のNST(Nutrition Support Team,栄養サポートチーム)は2008年から日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)のNST委員会の方針に則って活動しています。チームのメンバーは医師、歯科医師、管理栄養士、薬剤師、看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、言語聴覚士、事務職など多くの職種で構成されています。
チームを低栄養静脈経腸栄養グループ、摂食嚥下リハグループ、中枢神経嚥下グループの3つに分け、依頼患者の回診を行っています。

低栄養静脈経腸グループ
(リーダー 渡辺晋一郎医師)
ではさまざまな疾患に伴う低栄養状態に対し、適切な栄養投与経路・必要量、適切な食事や栄養剤の選択などを提言しています。

摂食嚥下リハグループ
(リーダー 櫻井真一医師)
では誤嚥性肺炎や術後の嚥下障害などの方たちの嚥下状態を一人一人内視鏡で観察し、摂食の是非や誤嚥に対する対応などを提言しています。

中枢神経嚥下グループ
(リーダー 栗村正之医師)
では脳卒中などに伴う嚥下障害への対応や胃瘻を用いた栄養管理についての提言をしています。

それぞれのグループが年間計画・目標を立てて意欲的に活動しています。

NST委員長 日本臨床栄養代謝学会 指導医 水谷雅臣

NST専門療法士認定教育施設

当院は2011年からはNST専門療法士認定教育施設となっています。毎年行っているNST臨床実地修練(全40時間)を受けることによりNST専門療法士の資格申請が可能となります。資格のためだけではなく自己のスキルアップのためにもとても役に立つと思います。これまで10回開催しましたが、院外の方も含め80名以上の方が受講しています。
職種は問いません。多くの方々の受講をお待ちしています。

現在、サテライト病院も含め14名のNST専門療法士がいます。NST活動に積極的に加わっていただき現場でのリーダーとして活躍しています。

月に1回はNST委員会を開き、活動の問題点や改善すべき点などを協議しています。また、経営面からみた評価も行います。現在、当チームでは栄養サポートチーム加算、歯科医師連携加算を算定しています。研究会・学会などへの参加状況の報告や新規医療材料についての検討・報告なども行っています。委員会終了後には講演会の主催なども行い最新の知見の修得、職員の教育・啓蒙にも努めています。

栄養管理はすべての患者さんにとって必要なことです。私たちがしっかり活動することで患者さんたちの状態が少しでも良くなり、検査・治療がスムーズに進むことを願っています。

低栄養静脈経腸栄養グループ

グループリーダー 内科 渡辺晋一郎

「腹が減っては戦は出来ぬ」
いにしえよりの諺が、いまの医療の本質すら映し出します。高齢者の非常に多い地域にある当基幹病院では、急性熱性疾患の入院時点で既に低栄養状態にある方が、非常に多くなっています。

当グループでは、そんな低栄養状態の方への介入方法を提案します。ひと手間が、併発症を予防したり、治療効果を高めたりします。とはいえ限られた医療資源の中、現存し考え得るすべての選択肢を全員に提供できるわけでもなく、バランスを見極めて主治医の先生方と意見を交換し、調整、提案するのが私たちの仕事です。経静脈栄養、経腸栄養のメニューに対する提案も行います。特に経管栄養については、レジメの登録制度を設け、原則画一化することで、指示を出す医師の負担軽減、受け取るコメディカルのインシデント発生の低下にも寄与しています。

グループリーダー 内科 渡辺晋一郎

一方で以前より、抗生剤を用いる低栄養の方に対しては、抗生剤耐性整腸剤の投与を促す取り組みを行い、抗生剤起因性(偽膜性)腸炎発症の抑制に向けて活動しています。時代は腸内細菌です。「腸内細菌を良く保つこと」は、健康のキーワードにもなりつつあります。入院治療で軽視されがちだった食事提供の立ち位置も見直されつつあります。腸内細菌を良く保つために安定した経口摂取が大切で、食欲を増させる食事提供のノウハウも、私たちの大切な活動です。
当グループ回診では、患者さんの笑顔を引き出すことも意識しています。そんな対外的にも自慢できるグループ活動を、是非ご活用ください。

職種

  • 医師 2名
  • 歯科医師 1名
  • 看護師 5名
  • 薬剤師 1名
  • 臨床検査技師 1名
  • 作業療法士 1名
  • 管理栄養士 3名

活動内容

  • 回診:週一回(毎週木曜15:00~)
  • 診察、食事内容・形態の調整、栄養補助食品の提案、適切な栄養剤の検討
  • ループミーティング:月1回(第2木曜回診後)
NST活動の様子1
NST活動の様子2
NST活動の様子3

摂食嚥下リハグループ

グループリーダー 耳鼻科咽喉科 櫻井真一

美味しい食事は健康の基本であり、生きる喜びの源です。
食事を口から食べる力や飲み込む力を嚥下(えんげ)機能と言います。嚥下機能は加齢により徐々に低下しますし、大病や大手術後に食事ができない期間が続くと急激に低下します。

当院は地域の中核病院であり大病や大手術を受ける患者さんが多く、さらに地域高齢化により加齢による嚥下機能の低下に起因する肺炎(誤嚥性肺炎)の患者さんも多く入院しています。これらの患者さんが自宅へ元気に退院するための鍵の1つは、十分な栄養を口から摂取できることです。ただし一度低下した嚥下機能は直ぐには回復せず、病気が良くなっても食事を摂取できないことが退院への壁となってしまうこともあります。

櫻井真一先生

当グループでは、食べる力や飲み込む力(嚥下機能)が低下した患者さんを歯科口腔外科医による歯牙や口腔機能の評価、耳鼻咽喉科による咽喉頭の嚥下内視鏡検査、放射線部でのX線ビデオを用いた嚥下造影検査などで専門的に検査します。その結果に基づいた効果的な訓練(口腔ケアや嚥下リハビリテーション)、管理栄養士による飲み込みやすい食事(嚥下食)や薬剤師による飲み込みやすい薬の提供、さらに看護師による専門知識に基づいた食事のサポートなど、総合的に嚥下機能の回復を図っています。平成21年に当グループ発足以来、この活動を通して多くの患者さんの嚥下機能が改善され、退院へ導いています。また、メンバーによる講演会等の広報活動を通じて、嚥下機能の大切さや訓練法などを院内外に広めています。

活動内容

  • 回診:週1回(毎週火曜12:00~)
  • 診察(栄養状態の確認)、食事の観察、嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査対象患者の選定、口腔ケア介入の検討、食事再開の可否、食事形態やリハビリテーションの検討等
  • グループミーティング:月1回(第1火曜17:15~)
  • 前月の活動内容の確認及び見直し、嚥下食の試食・検討、NST研修会内容検討等
  • 嚥下造影検査:週1回(1人/回)

当グループの活動は患者様のみならず、医療側の悩みや疑問にもできる限りサポートしておりますので、是非ともご相談ください。

NST活動の様子4
NST活動の様子5
NST活動の様子6

中枢神経嚥下グループ

グループリーダー 神経内科 栗村正之

中枢神経嚥下グループでは脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や神経変性疾患(パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー)などの疾患による嚥下障害のある患者さんの栄養管理をサポートしています。患者さんの高齢化に伴い認知症や加齢による栄養障害も増えています。神経難病では嚥下障害から胃瘻PEGを希望する患者さんも多いのですが、経過が長い疾患は高齢でも最後まで口からの食事を希望する方も多くなっています。脳血管障害の患者さんでは画一的な治療ではなく、急性期から亜急性気の低栄養を避けるために、経静脈的や経鼻経管栄養を併用して効果的に嚥下リハビリテーションを進める方法が必要とされています。

グループリーダー 神経内科 栗村正之

中枢神経嚥下グループでは医師・看護師・歯科医師・管理栄養士・薬剤師・言語聴覚士などの多職種で週1回の回診とカンファレンスにより入院患者さんの栄養状態の評価、口腔機能の評価、必要栄養量と食事形態の検討、嚥下を含むリハビリテーションの検討などを行います。摂食嚥下リハグループと協力して嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)を行うことで、嚥下機能を客観的に評価し、最適な食形態を提案し、栄養を介した患者さんの回復と健康維持をサポートしています。

活動内容

  • 回診:週1回(毎週月曜15:30~)
  • 診察(栄養状態の確認)、食事の観察、嚥下造影検査、口腔ケア、食事再開の可否、食事形態やリハビリテーションの検討等
  • グループミーティング:毎月1回(第1月曜日)
NST活動の様子7
NST活動の様子8
NST活動の様子9

NST介入の流れ

NST介入の流れの図

NST活動実績(令和4年度)

NSTメンバーの役割

NST医師の役割

  1. 院内の栄養管理全般
    ・早期栄養管理プランを決定し評価する。
    ・適切な栄養管理法を選択し評価する。
    ・経静脈栄養および経腸栄養ルートを管理、維持し評価する。
    ・経静脈栄養および経腸栄養剤を選定し評価する。
    ・栄養管理に関する合併症の予防と発症時の対応策を設定しておく。
    ・栄養管理に関する問題点とリスクへの対応策を設定しておく。
  2. 摂食、嚥下障害の治療法を確認し評価する。
  3. NSTメンバーの教育や指導に当たる。
  4. 患者、家族とNSTメンバーとの仲介役を務める。
  5. 他のチームとコラボレーションを図る。
  6. 在宅栄養、院外施設での栄養管理法を指導する。

NST歯科医師の役割

  1. 摂食、嚥下障害の患者の口腔内評価、咀嚼・嚥下機能の評価を行う。
  2. 義歯作成・調整を行う。
  3. NSTメンバーの教育や指導にあたる。

NST看護師の役割

  1. 院内の栄養管理全般
    ・栄養管理に関する患者情報を収集し対応する。
    ・早期に栄養管理の患者を抽出し対応する。
    ・早期に栄養管理の方針を確立及び確認する。
    ・栄養管理に関する合併症を予防し、発症時は適切に対応する。
    ・栄養管理に関する問題点とリスクを抽出する。
  2. 栄養管理の手技
    ・経静脈栄養及び経腸栄養ルートを管理、維持する。
    ・経静脈栄養剤の適切な管理法(側管投与法、薬剤配合変化に関する基本知識を含む)を習得する。
    ・経腸栄養剤の衛生管理法と適切な調剤法を習得する。
  3. 摂食、嚥下障害の患者を含め、経口摂取への移行を進める。
  4. 退院後の生活状況を把握し、患者、家族に退院指導を行う。
  5. 在宅栄養、院外施設での栄養管理法を指導する。

NST薬剤師の役割

  1. 栄養薬剤に関する事項
    ・栄養薬剤の選択と適正使用法を他のメンバーに指導する。
    ・経静脈栄養剤の側管投与法と薬剤配合変化について指摘する。
    ・経静脈栄養剤の適正調剤法(すべての調剤)を習得する。
    ・経腸栄養剤の衛生管理法と適正調剤法を他のメンバーに指導する。
    ・患者、家族に栄養薬剤について説明及び指導をする。(退院時を含む)
    ・誤投薬を予防及びチェックする。
  2. 経腸栄養の詳細なプランを立てる。
  3. 栄養管理に関する合併症を予防し、発症時は適切に対応する。
  4. 栄養障害を抽出し、早期に対応する。
  5. 栄養管理に関する問題点とリスクを抽出する。
  6. 在宅、院外施設での栄養管理法を指導する。

NST管理栄養士の役割

  1. 他のメンバーに栄養アセスメントの指導を行い、なおかつ詳細に解析する。
  2. 経腸栄養、経口栄養に関する事項
    ・経腸栄養、経口栄養の衛生管理と管理法を他のメンバーに指導する。
    ・適切な経腸栄養剤を詳細に選択し、ならびに推奨する。
    ・経静脈栄養法の経腸栄養、経口栄養への移行を推奨する。
    ・経腸栄養法、経口栄養法の詳細なプランを立てる。
    ・嚥下障害者に対応する。
    ・喫食及び摂食状態を把握し、評価する。
  3. 栄養障害を抽出し、早期に対応する。
  4. 栄養量に関する問題点とリスクを抽出する。
  5. 在宅栄養、院外施設での栄養管理法を指導する。
  6. 生活習慣病(予防医学)に対応する。

NST臨床検査技師の役割

  1. 検査データをモニタリングし、病態を解析する。
  2. 検査データから栄養管理に関する問題点とリスクを抽出する。
  3. 栄養学的血液検査と身体計測を実施、支援、ならびに解析する。
  4. NST症例に対し、ラウンド時に助言する。
  5. 細菌感染に関する事項
    ・細菌培養における抗菌薬感受性結果を迅速に報告する。
    ・細菌感染の原因を究明する。
    ・細菌に関する知識をNSTメンバーに提供する。
  6. 栄養指標に関する臨床監査の追加を提言する。
  7. 栄養に関する検査データの見方をNSTメンバーに指導する。
  8. ベットサイドの活動により、検査データと症状との乖離を検証する。
  9. 栄養に関する検査データを患者に説明する。

NST理学療法士の役割

  1. 筋力・姿勢・サルコペニアの評価を行う。
  2. 運動療法を行う。
  3. 身体測定・身体機能評価を行う。
  4. ラウンド時に活動量の報告をする。
  5. 必要時、リハビリテーション中に栄養摂取する。
  6. 運動効果を用いた栄養摂取の動機付けと効果判定を行う。

NST作業療法士

  1. 食事動作・活動・調理の評価、改善を行う。
  2. 認知機能・食生活史の評価を行う。

NST言語聴覚士の役割

  1. 摂食・嚥下の評価及び訓練を行う。
  2. 食形態の検討を行う。

NST歯科衛生士の役割

  1. 咀嚼機能の安定化を図る。
  2. 口腔衛生の評価・改善を行う。
  3. 口腔衛生についてNSTメンバーに指導する。

NST研修会

未定

NST臨床実地修練について

当院は日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)のNST認定教育施設であり、年1回NST臨床実地修練を行っています。日本臨床栄養代謝学会認定資格「栄養サポートチーム専門療法士」(以下NST専門療法士)認定規則に基づき実地修練(40時間)を次より行います。

実地修練期間

令和5年6月1日(木)~6月29日(木)
指定する火・木曜日9:00~18:00または、
10:00~19:00(うち60分休憩)
8時間×5日=40時間

実地修練費

20,000円(1回の修練期間40時間あたり)

対象者

NST専門療法士を目指す管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師

募集人数

若干名

場所

公立置賜総合病院
〒992-0601 山形県東置賜郡川西町大字西大塚2000番地
TEL:0238-46-5780、FAX:0238-46-5781(栄養管理室直通)

指導責任者

日本臨床栄養代謝学会指導医
公立置賜総合病院NST委員長 水谷雅臣

持ち物

白衣、ネームカード、上履き(サンダル不可)、筆記用具、昼食、飲み物(病院内にも食堂、売店あります)

申込方法

別途申込書に必要事項を記入し直接または郵送でお申し込みください。
宛先 〒992-0601 山形県東置賜郡川西町大字西大塚2000番地
公立置賜総合病院 栄養管理室 齋藤伸幸

お問い合わせ

NST委員会 事務局:公立置賜総合病院 栄養管理室
Tel:0238-46-5780
E-mail:eiyou@okitama-hp.or.jp

栄養管理はすべての患者さんに必要なことです。私たちがしっかり活動することで患者さんたちの状態が少しでも良くなり、検査・治療がスムーズに進むことを願っています。